「ノート003(その4)」
 ベースフィギュアシリーズ設計図
〜格闘ボディ設計図(1999年〜2000年前半)〜

記述者  まきの たろう
 
DATE 2002/05/14
 
 
格闘ボディ設計図
 
<左:キャラクターイメージ図、中央:第一稿設計図、右:第二稿設計図>
※拡大図は“ORIGINAL-PRODUCTS”の 「ベースフィギュア/格闘ボディ製作秘話」にあります。
 


 
※※ベースフィギュア/格闘ボディについての詳しい経緯は、“ORIGINAL-PRODUCTS”の
「ベースフィギュア/格闘ボディ製作秘話」 に書いたので、ここでは流れ上そこに書いて
いない技術面的なことや捕捉などを書きたいと思います。※※
 
 
 ベースフィギュア/格闘ボディの製作をはじめたのは、当時、ミヤンクんと遊んでいた
対戦格闘ゲーム「ストV3rd」のキャラクターである“春麗”の人形を作ろうと、
(ゲーセン帰り道で)盛り上がったことがきっかけでした。この春麗人形は、製作開始後、
色々あって、世に出ることはなくなり、ボディ部分のみをベースフィギュア/格闘ボディに転用
することになりました。
 
 ボディだけを作品として頒布しようと考えたのは、春麗のような体格の人形用ボディが、
市場に存在していなかったことため、需要があるのではと思ったからです。
 
 また、市場規模は小さくても、今までなかったものを作るという小回りの利く展開が、
小規模なグループであるYAIROの目指す方向性だと考えていたことも、理由の一つでした
(小さいグループは、利益もそんなに大きくなくてもよいので、小さい隙間を狙って作品を
打ち出そうという作戦です)。さらに、他にはない、個性的な作品をでアピールしようという
ことも考えていました。
 
 こういったことだったので、春麗人形のボディはYAIROの作品展開に都合が良かったのです。
 
 格闘ボディは以上のような作品展開の方針を踏まえた上で、デザインされていきました。
女性としての体型の滑らかさを考慮しつつ、格闘家の体としてのボディのボリュームアップを
かなり強調したのです。
 
 またその他のデザインの特徴として、ボディ全体にあまりケレン味を出さず、必要最低限のライン、
(体型の基本部分に忠実なライン)でストレートにデザインしました。
 
 なぜあまりケレン味のない、そのようなデザインラインにしたかというと、
ケレン味を出す技巧や技術・テクニックを駆使することに走りすぎると、基本がおろそかになり、
結局自分のためにならないのではないかという危惧が強かったからです。
いわゆる個人的な精神的要素のためです。
 
 この危惧から発生した方針は、振り返って思うと、客観性に欠けているように見えます。
 このような精神論的なこだわりは、製作者の視野を狭め、自己中心的で、作品にあまり良い影響が
ないように思うからです。
 
 今は、そういったことよりも、作っている作品を冷静に・客観的に見て、良い作品になっていなければ、
テクニックだろうが何だろうが使いまくって良い作品に仕上げることのほうを重要視しています
(作品の出来を判断するときには、まず、その作品に自分がお金を出そうと思うかどうか、
次に他の人がそうであるかどうかということを目安にしています)。
 
 ちなみにテクニックの濫用については、基本をおろそかにしないように注意しながらバンバン使えば
いいんじゃない?と結論付けています。
 
そんなこんなで、実作業に2000年の2月くらいから取り掛かりました。
 
 当初、紙粘土で原型を作っていたのですが、強度が弱いことと乾燥時間が非常にかかるので、
ポリパテに変更して作業を続けていきました。
 途中、ある程度原型が出来てきたところで型抜きテストも兼ねて、キャストに置き換えました。
その状態で組み上げ、関節の可動などをチャックし始めたのですが…ここで問題が発生しました。
 
 もともと関節部には市販のポリキャップを使用する予定だったので、関節部に嵌めこんで、
テストしていたところ、離型剤かキャストのシンナー分か何かが原因で、ポリキャップがすぐに緩々に
なったり、割れたりしたのです。まったく関節強度が出ない状態でした。
 
 いろいろ検討した結果、この時点では、キャスト製の関節がメンテナンス性や強度などを含め
総合的に信頼度が高かったので、格闘ボディには、胴体の関節に使用したゴム球以外は
すべてキャスト製の関節を採用しました。
 
 このボディの原型を作っていたころは、可動範囲と外観の両立という野望が強く燻っていたので、
市販のボディよりも広い可動範囲を…せめて同等以上には…と原型を削ったり盛ったりしていました。
 今でも可動範囲と外観の両立というテーマは続いていますが、この頃とは、ちょっとその質的な
ものが変化しています。これは次の「ベースフィギュア/slender編」のころに起こった変化なので
そこでで書きたいと思います。
 
 
<初期原型写真>
 
 原型の製作をはじめて約7ヶ月を経て、大体完成した感じになった状態が、この初期原型です。
 
 この初期原型では首が完成していなかったです。
 
 型の構造などは、今までの設計から受け継いだものとなっていますが、その他は、ベーシックで これまでの設計図のものよりシンプルな関節機構になっています。これは、今まで検討してきた (複雑な)関節機構が期待したほどのものではなかったことが影響しています。また複雑な構造の関節は 人形のボディ全体が脆弱になる可能もありました。その他、股関節を球体状の関節にしたことも、 第1稿〜第三稿の設計の構想とは異なっています。
 
 この状態でほとんどモノとしては完成していたのですが、インターネットや雑誌などで他の人形の
ボディと見比べたときに、ちょっと見た目とかが…いまいち…な感じがしたのと、見てもらった知人の意見
などでもやはり、ちょっといまいちな感があったので、出品予定のイベントまで2ヶ月しかないにも関わらず
腕以外の全部を改修することにしました。
 

<マスター原型写真>

 
 
 初期原型を約2ヶ月足らずで改修したマスター原型です。
 ベースフィギュア/格闘ボディとして頒布したのはこの型のものです。
 初期原型との違いとして大きいのは、太ももの形状と胴体の長さ及び太さです。
 

 
<初期原型可動写真>

 
 
 ベースフィギュア/格闘ボディの頒布予定イベントのアピールカット用の写真です。
 一見マスター原型に見えますが、締め切りの都合で、初期原型を使用しています。
 頭部は自前で途中まで作ったものを取り付けています。
 
 
 このボディの次に製作したベースフィギュア/slemderは、この格闘ボディで得た
経験を踏まえ、反省点を修正し、改良すべき点は検討・改良をすることを目指した
作品で、次回はそのあたりを書きたいと思います。
 
            (slender設計図〜2000年後半−2001年頃〜へつづく)